劇団ムーンライト公演

今日は劇団ムーンライトの公演に行ってきました。
今回の演目は「12人の浮かれる男」
筒井康隆が「12人の怒れる男」をブラックジョーク的にパロディにした作品です。
それを今回、原作通りの男性キャスト版と作中の登場人物の性別を全とっかえした女性キャスト版の2つのキャストで演じるということで本日行われました2公演両方見てきました。


感想としては男性キャストに関しては原作の面白さがそれなりに出ていて、十分面白いと感じたのですが、女性キャストに関してはせっかく性別を変えるという面白い試みをやったのだから、もう少し女性ならではという部分をアレンジしても良かったのではないかなと思いました。
例えば、事件の被告は死亡推定時刻には1km離れた飲み屋で酒を飲んでいたというアリバイを崩そうとするところでも、これは男性だから一人で飲み屋で飲んでいるというシチュエーションが自然になりますが、女性の場合だとやっぱりちょっとしっくり来ないわけです。
脚本作成や演出の段階でもう少しその辺は凝ってもよかったのではないかと思いました。


後は男女両方に言えるのですが、筒井流の皮肉の利いたブラックジョークというのを十分に表現しきれていなかったように感じました。
最後の台詞の「人間はこの国では少し悪いことをしなくては生きていけない」というのがこの話の一番の肝なのですが、だったら一人一人の陪審員がだんだんと悪事に染まって結果全員が有罪判決を下すという方向に持っていくべきだったと思います。
今回のを見ていると12人のうち不要な登場人物が何人かいたようにも思いますので。


ちと、辛口になったかもしれませんが、ムーンライトの公演には珍しい原作物、しかも演劇の定番中の定番作品なだけにきちんとこなせないと厳しい評価はやむをえないかなと思います。